ISBN:4047032174 単行本 小林 重喜 角川書店 1991/09 ¥1,121

著名な人物の日記は多いが、これは明治に生きたある無名の平凡な主婦の日記。彼女は結核で33歳で亡くなったのだが、息子が生まれた前後1年ほどの日記1冊だけを柳行李の底に残していた。死期が予測できる病気だけに他の日記は始末したのだろうが、遺してゆかねばならない息子が生まれる前後の箇所だけは捨てるに忍びなかったのだろう。その息子(執筆時90歳)が補足してまとめた本。

書き手・信子は、今で言うなら年収1000千万クラスの裕福なサラリーマン家に後妻として嫁いだ。25歳の彼女は、妊娠中の身で、夫・姑・先妻の遺した長男の世話をし、車夫・女中2〜3人の采配も務める。親戚宅訪問以外の外出はめったになく、ひっきりなしの到来物・返礼も含む家事で一日が終る。

著名人の日記にあるような劇的な出来事や出会いは何もない。顔を会わせる人といえば家族と親戚だけ。だが、そのこまめな日常の記録に、不自由ながらそれを当たり前のこととして淡々と生活していた女性の充実した毎日が感じられる。

信子は決して「私らしく生きたい♪」とか「もっと別の生き方があるかもしれない♪」な〜んて考えに惑わされることはなかっただろう(多分)。可能性が広がったことは必ずしも幸福ではないよな。

★★★
いつもの実家のある市へ。3軒回ったが収穫が乏しく、ようやく最後の店でいくらか収穫。

夕食:甥姪が「お泊り」なので、舅姑がスキヤキの材料を買っていた。孫にイイモノを食べさせたいというジジババ心に泣ける。…で、作るのは私ですかい。

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