不機嫌なメアリー・ポピンズ
2005年5月31日 読書
ISBN:4582852734 新書 新井 潤美 平凡社 2005/05 ¥798
英国の小説・映画から読み解く「階級」。
発音・名称にどの単語を用いるか・部屋のインテリアetc...ちょっとしたことで“お里が知れ”てしまう英国社会。知ってしまえば、英国の小説や映画・ドラマに接するたびに(現地で体験するという手もあるか…)意地悪な階級意識がわかり、より作品への理解が深まる。
英国人の小説を米国が映画化したときの比較も面白い。
ディゲンズの「大いなる遺産」は貧民の少年に、犯罪者が恩返しに大金を与えて“ジェントルマン”にする話だが、現代のアメリカを舞台にした映画では、ロバート・デニーロ扮する脱獄囚は少年を芸術家へと援助する。
サッカーくじで大金を手にしたロウワー・ミドル・クラスの青年が、アッパー・ミドルの憧れの美女を監禁する「コレクター」は、美男・美女の俳優によって演じられたため、2人の間に交錯する侮蔑と嫌悪、反発が薄められ、エロティックな緊迫劇となっている。
「時計じかけのオレンジ」は、属する階級のあるべき姿におさまる原作の主人公は、ラストを変えた映画によって階級を超えた悪のヒーローになる。
米国の観客を意識してかなり階級表現を抑えた映画「ブリジット・ジョーンズの日記」でも、ヒロインを演じたレネー・ゼルウィガー(なぜかアメリカ人女優を抜擢)に徹底して階級がわかるようなイギリス英語を特訓し、登場人物がどの英語で話すかという問題が避けて通れないものという現実を露呈させる。
そういう視点を意識してしまうと、ファンタジー「ハリー・ポッター」でさえも、魔法使い=アッパー、マグル(人間)=ロウワーにあたるだろうな、それにしては映画の子役たちの英語は…などと文字通り「階級にとりつかれて」しまう。
それが今なお英国の現実であり、そのために独特の意地の悪さが文学や映画にあり続ける。
★★★
市内の仕入れ。
不作続き。そういうのはじわじわと来月あたりに結果が出る。
英国の小説・映画から読み解く「階級」。
発音・名称にどの単語を用いるか・部屋のインテリアetc...ちょっとしたことで“お里が知れ”てしまう英国社会。知ってしまえば、英国の小説や映画・ドラマに接するたびに(現地で体験するという手もあるか…)意地悪な階級意識がわかり、より作品への理解が深まる。
英国人の小説を米国が映画化したときの比較も面白い。
ディゲンズの「大いなる遺産」は貧民の少年に、犯罪者が恩返しに大金を与えて“ジェントルマン”にする話だが、現代のアメリカを舞台にした映画では、ロバート・デニーロ扮する脱獄囚は少年を芸術家へと援助する。
サッカーくじで大金を手にしたロウワー・ミドル・クラスの青年が、アッパー・ミドルの憧れの美女を監禁する「コレクター」は、美男・美女の俳優によって演じられたため、2人の間に交錯する侮蔑と嫌悪、反発が薄められ、エロティックな緊迫劇となっている。
「時計じかけのオレンジ」は、属する階級のあるべき姿におさまる原作の主人公は、ラストを変えた映画によって階級を超えた悪のヒーローになる。
米国の観客を意識してかなり階級表現を抑えた映画「ブリジット・ジョーンズの日記」でも、ヒロインを演じたレネー・ゼルウィガー(なぜかアメリカ人女優を抜擢)に徹底して階級がわかるようなイギリス英語を特訓し、登場人物がどの英語で話すかという問題が避けて通れないものという現実を露呈させる。
そういう視点を意識してしまうと、ファンタジー「ハリー・ポッター」でさえも、魔法使い=アッパー、マグル(人間)=ロウワーにあたるだろうな、それにしては映画の子役たちの英語は…などと文字通り「階級にとりつかれて」しまう。
それが今なお英国の現実であり、そのために独特の意地の悪さが文学や映画にあり続ける。
★★★
市内の仕入れ。
不作続き。そういうのはじわじわと来月あたりに結果が出る。
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