サラの旅路

2005年6月8日 読書
ISBN:4338155043 単行本 宮坂 宏美 小峰書店 2000/11 ¥1,470

著者が古書店の目録から見つけたヴィクトリア朝の手紙や写真。その僅かな資料をもとに、数奇な運命をたどったアフリカ人女性の人生を紡ぎだした本。

手紙の主、サラ・フォーブス・ボネッタは、西アフリカの王女として生まれ、幼いうちに国を攻め滅ぼされる。生け贄として殺される寸前のところを英国人フォーブスに救われ、彼女の身の上に深く同情したヴィクトリア女王の厚い庇護を受けることとなる。女王はサラが利発な様子を喜び、身の回りから教育まで援助を惜しまなかった。女王をはじめ高貴な身分の人々に特別な存在として扱われたサラだが、彼女がいったい自分のことを過去を含めてどう思っていたのか、結婚後に教師としてどのような意志でつとめていたのか、想像するしかないことが多すぎる。

資料の加減でいろいろな視点でもっとつっこんだ内容にもなれそうだ。だがその資料があまりにも少なく、ここまでサラの人生を復元するのが限界なのであろう。

いわゆる「貴種流離譚」的な流浪の王女の物語としてあっさり読めた。生まれたときに刻まれた顔の刻印で王女という出自がわかるとか、女王の寵愛を得たために特権的な存在になったとか、おとぎ話のようなキーワードがちりばめられている。

本の見返しに掲載されているサラの手紙も面白い。最後の行まで書いたあと、紙の向きを90度変え、その上からまた続きを書く。つまり行が十字に交差しているわけで、便箋や郵便代を節約する当時の習慣だったと。知らなかった。インクの色でも変えないと読みにくいんじゃないかい。

★★★
今日の予定ッ!と一応書き出してみるが、瑣末なことばかり。それでもそれをこなして午前中終る。
「サラの旅路」を昼食後イッキ読みしたら、その後モチベーションが下降し、最低限のことのみ行う。最近暑いのでどうも能率が落ちる。

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