ISBN:4622046695 単行本 小沢 瑞穂 みすず書房 1998/11 ¥2,940

昨日の続き。「ジェーン・エア」の後日談ならぬ、前日談とでもいう小説。

ロチェスター卿の最初の妻、バーサが語り手。

「ジェーン・エア」では、ジェーンと重婚の罪を犯そうとするロチェスターを読者に受け入れてもらわねばならず、そのため前妻バーサをもはや人間とはいえないほどの凶暴な狂人として描く必要があった。バーサは「精神を患う家系の出」であり、彼は「家系のことを父と兄に騙され」、彼女の美貌に惹かれ、若気の至りで結婚してしまった。やがて彼女が「大酒のみで不貞をはたらく女」だと気付いたが、そのときはすでにバーサは発狂し、当時の法律では離婚が不可能になってしまったのである。

そういうバーサの性向は、彼女が西インド諸島に生まれ、クレオールを母親に持つ出自という設定で、その堕落した性格や凶暴性の説明になっている。作者ブロンテはロチェスターの罪をその説明で正当化させている。

それに憤慨したのが英国人の父とクレオールの母をもつドミニカ生まれの作家ジーン・リース。彼女は常に“自分がどこにも属さない”孤独な存在であることを逆にアイデンティティとし、作品に昇華させた作家だった。

彼女はバーサに自分を重ね、この小説を書いた。
「ジェーン・エア」でもの言わぬ狂女として周囲から恐れられ、嫌悪され、最後には(都合よく)自らが放火した屋敷で焼死する哀れなバーサを、感受性鋭く、運命に翻弄されつつも、諦め、受け入れる強さをもつ女性として描いた。

ジーン・リースについては、彼女の半自伝的小説を映画化した「カルテット」で、イザベル・アジャーニがジーンを演じていることで彼女のイメージがだいたい想像がつくかと。ある女性の評論で「彼女は事実以上に“可哀想な女性”を演じて同情をひいている」という非難があるのがまた面白いところ。

★★★
朝、メール受信はできても送信ができないのでちょっとアセった。しかたないのでもう一つのアドレスから送信してから仕入れに外出。

いつものランチに行けないので、ちょっと変則的なルートにしてみる。空腹時間が長いので昨日から疼いている頭痛がまた勃発。いつもより遅いランチ後、薬をのむ。

帰宅しいつもの掃除。

はじめて注文するところに梱包資材を注文完了。

今日から40の大台。どーでもいいけど自分以外の家族は、ものすごく誕生日が覚えやすい。お互い祝うトシでもないが、ちょっとだけ不公平感がある。

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