レベッカ

2005年8月24日 映画
DVD GPミュージアムソフト 2005/01/25 ¥2,940

ジョーン・フォンティンつながりでもういっちょ。ダフネ・デュ・モーリア原作、ヒッチコック監督の映画化作品。ストーリーが「ジェーン・エア」と似ているのでよくひきあいに出される。

ジョーン・フォンティン演じるヒロインは身寄りのない若い女性で、有閑婦人の話し相手(コンパニオン)として働いている。わがままな雇い主の婦人にこきつかわれる毎日だが、つきそいで行った保養地で、上流階級の魅力的な紳士マキシム・ドゥ・ウィンターと出会い、心を通わせてゆく。タイトルの「レベッカ」というのはマキシムの亡くなった先妻の名前。なんとヒロインは最初から最後まで名無しのままである(ヒロインの出身階級を曖昧にするため、という計算があるらしい)。原作でも映画でもヒロインがファーストネームで呼ばれることはない。

ジェーン・エアと違ってこちらは先妻は間違いなく死んでおり(ボートが沈んでの事故死)、ヒロインは晴れてドゥ・ウィンター夫人として挙式、ハネムーンのあと英国のドゥ・ウィンター邸宅マンダリーに迎えられる。めでたし、めでたしかと思いきや、ここから話の本筋が始まる。

まずヒロインの苦悩は、若くて未経験なこと。大勢の使用人が控える邸宅の切り盛りをしなくてはならない。ところが若奥様にとって一番たよりになるはずのハウスキーパー・ダンヴァース夫人は、若いころレベッカ付きの召使で、彼女を崇拝といっていいほど愛していた。彼女はなにかとレベッカの完璧さを褒め称え、ヒロインを陰湿にいたぶる。夫マキシムはどうかというと、不慮の死を遂げた美しい前妻・完璧なレベッカを失った衝撃からいまだ立ち直っていないように見え、ヒロインの苦悩を嫉妬でさらに深める。

原作でも映画でもゴシック・ホラー的な演出がほどこされ、由緒ある大邸宅のそこかしこにレベッカの面影がちらつくようにヒロインには思える。ヒロインはもうこの世に存在しないレベッカと比べられ、劣等感に苛まれてゆく…。

と、いうところでドンデン返し。

レベッカはヒロインや周囲の人間が思っていたような令夫人ではなかった。

マキシムはレベッカと挙式後すぐ、彼女が身持ちの悪い悪魔のような女であると気付いたが(挙式前に気付けよ…)、家名を守るため、邸宅では完璧な妻を演じるかわりに週末ロンドンで好き勝手に放蕩することを許す、と取り決める。

愛のない夫婦生活はしばらく続いたが、レベッカはそのうち邸宅にまで愛人を連れ込むようになる。限界にきたマキシムは、愛人との現場を押さえようとボート小屋へ乗り込むが、そこではレベッカは一人で長椅子に寝そべっていた。彼女は愛人の子を妊娠したことを告げ、マキシムを嘲笑する。

ここで原作は、かっとなったマキシムがレベッカを射殺し、死体を彼女のボートにのせて沖へ漕ぎ出し、船底に穴をあけて船ごと沈ませ事故で死んだとみせかける。事情をしらない周囲の人間は彼が妻を失って悲しみに打ちひしがれていると思っていた。ヒロインも恐ろしい秘密に苦悩する夫の態度を前妻への恋情とみて、嫉妬していたのだった。

秘密を告白され、誤解のとけたヒロインは、彼をその罪ごと支える伴侶としての自信を抱く。

結局レベッカは実は癌に侵されて数ヶ月の命だったことが判明。レベッカは偽りの妊娠で怒らせ、自分に殺させようとしたのだ、とマキシムも悟る。

映画ではさすがに、夫の殺人の罪を受け入れる妻、それじゃ観客のほうが受け入れられんわいと危惧されたのか、そのへんを少し変更。レベッカに激昂したマキシムが彼女を殴り、ふらついたレベッカが前に出ようとして自分でつまづいて転び、打ち所が悪くて死んでしまうことになっている。しかもレベッカの病気を診断した医師により、彼女が自殺をほのめかす発言があった、と証言させている。

ともあれレベッカの呪いがしみついたかのようなマンダレーの邸宅は焼け落ち(レベッカの真実の姿を知って衝撃を受けたダンヴァース夫人の放火を匂わせる映像)、マキシムとヒロインの夫婦は新たな出発をする。

先妻の亡霊がいるかのごとき不気味な屋敷に怯える若妻、というゴシックホラー的演出と、鮮やかな謎解きミステリーが融合した今更言うまでもない名作。

★★★
買物と近場での仕入れ。
買物のしそびれがあったので、午後にもう一度出直し、たまに行く仕入れ店へも足を延ばす。
処理は途中まで。明日完了予定。

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